民事再生手続とは
PAGE TOP法律上の「倒産」とは以下の2点のような状態を指します。
(1)破産手続開始、再生手続開始、更生手続開始または特別清算開始の申立てがなされること
(2)手形交換所において、その手形交換所で手形交換を行っている金融機関が金融取引を停止する原因となる事実についての公表がこれらの金融機関に対してなされること
上記の(1)は、法的な再建手続や清算手続の申立がなされることをいい、(2)は、会社が半年以内に2度の不渡りを出し、銀行取引が停止されてしまうということをいいます。
一度会社が倒産状態に陥ると、そのまま会社を清算してしまうか、何らかの方法で会社を再建するかの選択を迫られることになります。もし、後者の会社の再建を選択した場合、会社再建のために立てられた計画によって営業活動を継続し、債務の一部免除や弁済期の繰延等を行って会社の再建を図ります。
本題である民事再生手続とは、このような会社再建のための法的再建手続のひとつであり、裁判所等の監督下で原則として、元の経営陣がそのまま会社経営権や会社財産の管理処分権を失わずに再建を行っていく点に特徴が有ります。逆に、会社更生手続においては経営陣の交替を余儀なくされます。また、民事再生手続は、予納金が会社更生手続よりもはるかに低廉(数百万円)です。時間的な面においても会社更生手続より短期間(およそ半年くらい)で行われます。このことからも、民事再生手続は中小規模の会社もしくは、大規模株式会社でも経営陣の維持に重きを置いて再建を行いたい場合にとるべき手続と言えます。本題とは逸れるので詳しく触れませんが、民事再生手続は個人が申立できることも特徴の一つです。
また、民事再生手続が成功する一番大切な条件は、営業利益が確保できる事業が最低1つあるということです。本業は順調なのだが、過去の過剰な投資の結果残った不要な資産や債務返済額が膨大なため経営に行き詰っており、もし、それらの不要資産の売却や債務のカットをしてやれば、本業の黒字で残りの債務をいくらかは返済していけるという場合に取る手段であることが本来です。また、上でも少し触れましたが、民事再生手続には予納金等の費用が少なからずかかりますので、会社の資金が底をつき、二進も三進も行かなくなってから取る手段ではありません。
しかし、昨今は過大投資よりも本業の不振で資金繰りのメドがたたなくなって、民事再生手続を申し立てるという事案が増えているのも事実です。
一般的な民事再生手続のフロー
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1)再生手続の申立
基本的には、再生債務者側が申立を行いますが、逆に債権者側から行われる場合もあります。
申立は、原則として再生債務者の主たる営業所の所在地を管轄する地方裁判所に対して書面で行います。また、その書面に記載すべき事項については定められています。申立の書面には、商業登記簿謄本や定款、就業規則、債権者一覧表、決算書、資金繰り表、事業計画書等の書類を添付します。とりあえず形式が整っていれば、受理されます。
2)保全処分の発令
申立を受けた裁判所は、再生手続開始の決定までの間、債務者の業務及び財産に関し、仮処分、仮差押、その他の必要な保全処分を命じることができます。
この保全処分は、再生債務者が再生手続開始の申立と同時に弁済禁止の保全処分の申立を行うことが一般的です。また、裁判所の職権によって行われる場合もあります。この保全処分の中には手形の不渡りを防いだり(銀行の取引停止にならない)、再生手続の開始が決定される前に債務者の財産が散逸してしまうことを防いだりすることができます。
3)監督委員の選任
監督委員とは、裁判所に代わって再生債務者を監督する者のことです。このポストには弁護士が就きます。主な業務としては、裁判所から指定された再生債務者の行為について同意・不同意の判断(監督委員の同意を得ないで行った行為は、無効となる)や、再生債務者の業務や財産の調査、再生計画案について意見書を作成、債権者集会への出席、再生計画認可後の再生計画履行監督等があります。
4)債務者による債権者説明会
債権者説明会は、民事再生申立の数日後、遅くとも1週間後までに債権者に対して説明会を開催するものです。主な内容としては、代表者のお詫びの挨拶、民事再生申立に至った経過、経営破綻に至った原因、その時点で把握しているとりあえずの資産・負債の状況、今後の手続の進行予定、今後の取引継続と再建に向けての協力要請、その際の支払条件の提示などとなります。また、申立直後の混乱を収拾するためできるだけ早期に開催するべきです。その意味でも、債権者説明会は再生債務者の事業再生にとって重要なポイントと言えるでしょう。
民事再生の申立をすることを決定したら速やかに、説明会の会場の手配や出席を求める再生債権者に債権者説明会の案内を発送、配布資料の準備等に取り掛かるようにします。
5)再生手続開始決定
債務超過および支払不能の恐れや、事業の継続に著しく支障をきたすことなく弁済期にある債務を弁済することができない事由(これを再生原因といいます)の存在が認められ、且つ、予納金を納付しない、再生計画の認可の見込みがない、不当な目的で民事再生開始の申立がなされた等の事由がない場合、裁判所は再生手続開始決定をします。
この再生手続き開始決定により、会社更生を除く他の法的整理手続の申立ができなくなり、既になされている場合にはそれらの申立は失効します。さらに、再生債権に基づいた再生債務者の財産に対する強制執行や財産開示手続もできなくなり、既になされている場合にはそれらは失効します。さらに、再生債権者が再生債権の届出や、再生債権の調査をするための期間が定められます。
また、再生手続開始後は、たとえ再生債務者が主体となって再建を行う場合でも、裁判所の監督下に置かれることとなります。
6)再生債権の届出
再生手続に参加しようとする再生債権者は、再生手続開始決定時に定められた期間(債権届出期間といいます)内に、再生債権の内容及び原因、議決権の数、別除権の行使によって弁済不足が見込まれる額等を裁判所に書面で届け出る必要があります。この期間内に再生債権の届出を行わなかった場合は、原則として債権が失効し、再生計画による弁済が受けられなくなってしまいます。
7)再生債権の調査・確定
再生債務者は、再生債権者から届出があった再生債権とその議決権の認否、また、届出のなかった再生債権については、再生債務者がその債権の存在を知っているのであれば、その債権の内容を記載した認否書を作成して裁判所に提出します。
再生債権の届出をした再生債権者は、再生債務者の作成した認否書の内容を閲覧することができ、自己や他人の債権がどのように認否されているかを確認することができます。また、その記載内容について裁判所が定める調査期間内に限って異議を述べる(自己、他人の債権を問わず可能です)ことができます。
再生債務者が認否書において認め、且つ、届出をした他の再生債権者からの異議が出されなかった再生債権は、そのまま確定します。また、異議のある再生債権者は、調査期間の末日から1ヶ月以内に裁判所へ対して査定の申立をします。
この申立を受けた裁判所は、再生債権の査定をする裁判を行い、その裁判結果を記した裁判書を当事者へ送達します。また、さらにその査定内容に不服がある者は、裁判書の送達の日から1ヶ月以内に、異議の訴えを提起し、この中で再生債権の内容が決定されることになります。
8)再生計画案提出
再生計画案は、債権届出期間の満了後、裁判所の定める期間内に作成して裁判所に提出しなければなりません。この提出期間は、申立や裁判所の職権によって伸長されることがありますが、どちらにしても期間内に再生計画案の提出がないときには、裁判所は再生手続廃止の決定をします。
この再生計画案の主な内容は、今後の事業計画と弁済計画の2点です。また、再生計画の立案は、再生債務者と申立代理人の最も重要な仕事のひとつです。
また、再生手続開始後に事業部門の一部を他へ事業譲渡する場合には、株主総会の承認等を経ることなく裁判所の許可で足りることとされています。弁済計画における弁済内容は、破産手続を選択した場合の配当率よりも有利なものでなければならず、10年以内の弁済期間を設定しなければなりません。
9)監督委員の意見書
監督委員は、裁判所に再生債務者から提出された再生計画案に対し、その再生手続や再生計画の適法性や実現可能性等を検討し、認可相当か否かの意見書を作成し、裁判所に提出します。
10)債権者集会
裁判所は、債権者集会の日時を決定します。さらに、債権者集会の開催の通知書や、再生計画案、監督委員の意見書、議決票を再生債権者へ発送します。
債権者集会では、再生計画案が再生債権者の法定多数(出席議決権者の過半数の同意、且つ、出席議決権総額の2分の1以上)の同意を得て再生計画案が承認され、裁判所の認可を得た場合には、当該再生計画にしたがって再生債権の弁済をしていくことになります。
もし万が一、再生計画案が承認されなかった場合は、破産手続きへと移行されます。
11)再生計画認可決定
再生計画案が、債権者集会において再生債権者に承認された場合、裁判所は原則として再生計画の認可を行います。
12)再生計画の実行
認可された再生計画に従い再生債務者は計画を実行し、監督委員がその再生計画の実行を監督します。
もし万が一、再生計画を実現できない場合には、再生手続終結前に限り、裁判所に再生計画の変更の申立ができます。また、再生計画の履行が著しく困難となったときは、裁判所は再生債務者や監督委員の申立、または職権により、再生手続の廃止を決定しなければなりません。この場合、計画の取り消しによる破産手続への移行が行われることとなります。